監督:ロバート・ベントン
反芻してみると良い話だと思えるのだけど、今ひとつしっくりこない。
どのキャストも誰もが?認めるレベルの役者だけど、
特にホプキンスとキッドマンについてはどうもハマってない気がする。
単体で見て、ミスキャストですかと言われればそうでもないけど
相性が悪いというのかなんと言うのか。
もちろん話も関係あるのだけど、映画で見ている時は
ホプキンスの行動にほとんど共感できなかった。
でも、後からプロットだけ追ってみると、なんか理解できる。
でも、それで映画を思い出すと、やっぱしっくりこない。
演出が悪いと言えば、まあそりゃそうなんだろうけど、それだけでもないような。
というような、違和感を感じなければ、良い映画だと思います。
ハルディン・ホテル / ナイロン100℃
10周年だって?いやあよくやったよなあ。あの有頂天がねえ(って知らないけど)。
集大成って言うか良くも悪くもナイロンではあるけどそれ以上でも以下でもない。
目新しさもなければビッグな客演もない。
個々の役者もみんなそれなりって感じで、キャラが立ってないから見せ場もない。
そんでもって脚本やテーマも特別面白くない。
一つ前が「東京のSF」でこの後が「男性の好きなスポーツ」なんだけど
両方と比べてガクっと落ちる。やっぱケラさんは守りに入っちゃいかんと思うよ。
蛇イチゴ
監督・脚本:西川美和
なぜかオモロイという予感があって事前の期待感が高かった。
アラスジだけ言ってしまうと単純っていうかベタなんだけど、
ストーリーを進めるためのシーンは相当アッサリしていて、
一応設定はこうです。と言う最低限の説明に収まっていてるのが成功してるし、
しかもちゃんと伏線となる要素を置いてある所が
作品のテンポというかノリをまとめあげてると思う。
アラスジに沿ってパニクる両親二人と、映画の主題を語る子供二人の対照が
とても上手いし、宮迫とつみきみほの上手いんだかヘタなんだか
よく分からない演技が最後までミステリーを引っ張り続ける。
音楽にインディーのファンクバンドを使ったり、いちいちセンスが良い。
これをちゃんと狙って作ったとしたら西川美和は天下取るね。
しかしつみきみほも歳取ったなあ。声が相変わらずなので喋るとあんまり
変わりない感じするけど、顔自体はマダム入ってきてる。
でもコレはコレで悪くなくて、声とのギャップがなんかたまらない。
特に宮迫がアドリブ的につみきみほをからかうシーンにおいて見せる
軽蔑の眼差しはかなりハイクラス。ゾクゾクするぜ。
しかしまたもシネスケの評価低し。どうもあそこは保守的すぎる気がする。
ダブリンの鐘つきカビ人間
作:後藤ひろひと 演出:G2
主演ってほどは出てこないな片桐仁。
まあ笑えて泣けて(泣かないけど)みたいなかんじで、
それぞれは質の高いものだとは思う。
でも、この笑えて泣けるという事は多くの劇作家が指標として
掲げてたりするワケだけど、泣ける話は書けても、
ちゃんと笑える話を書ける人は少ないと思う。
笑えるという事はとても大事な事ではあるけど、
ストーリーや会話の流れで必然的に出てくるものだったり、
特定の役者が特定のキャラを演じた場合に期待されるものだったり、
そういう作品に絡めたものでなければ意味がない。
この作品においての笑いもほとんどがアドリブ的と言うか、
「アドリブで笑い」と脚本に書いてありそうな笑いが多くて、
まあ面白きゃ笑えるんだけど、それはなんか質が違う。
分かりやすく言えば芸人におけるネタとフリートークの違いみたいなモノで、
こっちは完成された作品を見に来ているんだから、
そこら辺はもっと練りこんだものを見たいなと思う。
言ってしまえば、ストーリーや世界観がそこで断たれるわけだから、
結果的に泣けない人も多くなるんじゃないですかね。
http://www.parco-play.com/web/play/dublin2/
インストール
監督:片岡K 原作:綿矢りさ
原作がそうなんだろうから仕方ないけど
中途半端なエロスとか要らないんじゃないかと。
アイデンティティに悩みを抱えて不登校になったという設定であるものの、
どう見ても悩んでるようには見えない上戸彩。
この軽薄さ自体は狙いだろうし、そういうポップで文学的な
青春映画としての期待感が序盤にはかなりあったんだけど、
エロチャットにハマる中盤あたりからは
保たれていたリアリティが欠如してしまったように思う。
別にエロチャットというアイテムを使うのは構わないんだけど
たいしてそれに意味を持たせない割には占める時間が長いんだよね。
エロチャットとか性の目覚め?とかも、もっと軽薄に乗り越なして
友人(恋人?)の死に対する無力感と喪失感に繋げれば
文学的な要素が濃く出たんじゃないかと思う。
まあそこらへん、結局片岡はTV屋って所なのかな
スクール・オブ・ロック
監督:リチャード・リンクレイター
リンクレイターがこういうものを撮るという事が良く分からないし
これがコメディとしてそれほど傑作なのかも良く分からない。
ロックを通ってない人にとってはどうなんだろう?
しかしこれほど古典で王道だとは思わなかったけど、
最後、自分の凡才を認めながらも主役であり続けようとした
主人公のヒロイズムが受け入れられたのか、
単にKIDSパフォーマンスが親心にヒットしたのか
なんだかよく分からない。パフォーマンスも低レベルで、
全員、誰一人才能があるようには思えないし。
結局のところよく分からないけど、ロック史の授業は楽しそうだ。