三体 WOWOWドラマ版
原作:劉 慈欣
監督:楊磊(ヤン・レイ)
原作未読。読もうかなと思っていたところにドラマ放映という事で、まあそっちで良いかと妥協し、事前情報ナシで見たいなと思ったのが運のツキ。30話もあるからてっきり三部作全部かと思って見てて「コレ終わらなくない?」と28話あたりで気づく。
そうです、30話で一部だけです。そんでもって二部以降はまだ撮影にも入っていない模様・・・・oh、この未充足感どうしてくれんだよおおおお
まだまだ人生長ければ楽しみに待つということもアリだがこちとら何年生きれるか分からん身なので困るよそういうのは。というわけで原作に手を染めるしかなくなってしまった。
未読なので原作との差はわかりませんが、たぶんクライマックス?の飛刀炸裂シーンは映像で見る価値アリアリ。コレだけでもドラマ版見る意義あるのでは。ちょうどNetflix版が始まりましたがこれは比較されるよ~ハードル高いよ~
本来の「三体問題」などの物理学とか天文学的知識がある人が見たらどう思うのかはよくわからないところではありますが、9次元を操るという圧倒的な文明力がありつつ三体問題という地球文明でも取り扱うレベルの問題が解けないのかなというのはややギャップがある気がする。というか最後の30話一回だけで三体文明のロジックをめちゃくちゃ詰め込んでくるので多分これはドラマ版がエンタメに寄せすぎてやや意図的に崩壊したんじゃないかという気がする。
このあたりは期待せずに(原作に期待)エンタメとして見るととても良いかと思う。
PLAN75
監督:早川千絵
現代版(未来版?)姥捨山という触れ込みのSF。
設定に大きな無理はなく、安楽死は任意でありながらも「良きこと」として皆が扱い,ふんわりと笑顔で勧めてくるあたりがリアリティーを醸成している。
個人的には安楽死推進派で、自分の病気が進みあとは苦しむだけとなったら殺して欲しい。年間自殺者が2万人を超える我が国において何を今さらと思っている。が、意識不明者の管を外すのさえ何十年も議論が進まないあたりからしても現実的には達成されないだろう。
とまあメッセージ性がかなり強いので映画としてどうこうはなかなか語りづらいが、ラストの淡々としながらも押し寄せる緊張感とプレッシャーは一見の価値あり。
派手な演出やBGMでの盛り上がりもなく、事務的に"処理"されていく恐怖感と、怖くないですよ的な慣れたスタッフ対応、ルーズなセキュリティの異様な違和感。(若者が助けに行くのは蛇足だと思うが)
不老のサイエンスの進歩の方が前向きになれるし近来のAIの飛躍的進歩を考えると90歳くらいまで健康寿命が伸びそうな気はする。定年75は遠くない。
PLAN90が現実的なところでしょうね。
たかが世界の終わり
監督:グザヴィエ・ドラン
2016カンヌ グランプリ(次点)
これにグランプリを出すのはさすがカンヌ。
グザヴィエ・ドランは初見ですが、この年齢(当時27歳)でこの作品撮るんかいという恐ろしく展開も話の筋もない映画。
深井龍之介が本を読むのに知的体力がいる、という事を言っていて、たとえば十分に知的体力のある人=マラソン完走できる、としたならば、この本は32.5kmくらいとか、この本は5kmくらい走れれば読める、みたいな話。
映画にもまあそういうのがあるかもなあ、と思わせる作品で言うならばこれは30kmくらいの体力はいるかなあと思う。
と言っても、自分でページを捲らなければならない本と違い、映画は理解できなくても勝手に進む。なので私の考える映画における体力というのは、退屈に耐えられる力だと思う。このなんもないシーンに10分かけるんかい、というのは監督が観客にそれだけの時間を体感させたいという意図があるわけで、それを体感しないと監督が見据える全体像が見えてこないわけです。というわけでコレを普通に楽しめる人はまあまあ体力がある人だと思う。
と、前振りがずいぶん長くなったが、それだけ中身に対して語ることのない映画、と率直に言いましょう。
冒頭にややドラマティックな設定がなされ、主人公と観客はそれを裏設定としてこの帰省の目的が共有される。一応はそれがこの映画の一本筋となり、それぞれの会話に意味や含蓄を持たせることに成功している。逆に言えばほぼそれだけでこの映画は引っ張られており、それ以外何も起きない(結局はそれさえも起きないのだけど)。
故ギャスパー・ウリエル他、俳優陣は魅力が十分(特にヴァンサン・カッセルのイヤな奴ぶりは若干本当にイラつく)で、会話はずっと続くので、それほど何かのシーンが長く感じるということはない。
と言ってもこれだけ何の展開もなく、皆が待ち受けているカミングアウトによるドラマティックまたはサプライスは結局来ない、というある意味サプライズ。
幸いにも評論家ではない我々は評価をする必要はない。
好きか嫌いかで言えば、私はこういう映画が好きです。すいません。
進撃の巨人
作 :諫山創
パニックホラー、アクション、ファンタジー系に位置付けられると思うが、比較的SF的に解明されていくあたりは妙味があると思う。
AKIRAとかEDEN好きなヒトにもイケるんでないかと。
34巻とそこそこ長いが少なくとも世界観や構想は細部まで決まっていただろうと思わせるほどブレないし、中だるみもなく飽きない。
名作だと思います。ええ。
人間と巨人が絡んだバトルがいちいち面白いし、戦略性、アクションに富みます。
純粋な1対1なら一応人間のリヴァイが最強な点などもアツいです。
という中で少しずつ世界の謎が見えてくるし、見せ方もウマい。
とまあとになく、トータルは大満足でオススメではありますが、あえて惜しい点などをあげます。
9つの巨人の9つの能力がバトルの楽しみになっていて重要だが、多分とてもバランス取るのが難しいと思うので能力設定のイチャモンはやめるけど、どうやってそれぞれが生まれたのかはアツめのストーリーがあると良かった(というかかなり最後まで期待してた)。
ストーリーがあれば矛盾やチートも気にならないし。
なお、個体では戦槌が最強だよねえ、硬質化の無敵防御力を持ち、女型と違いその状況から最強攻撃が繰り出せる。
なのに唯一防御を破る強さを持つ顎をダイバー戦で近くに置いたのはあまりに失策すぎて、これはバトルでは唯一萎えたところかなあ。どう見ても勝ち目なかったからな。
そもそも彼らは閉じ込めてしまっていたわけで、ピークちゃんの機転がなければ参戦してない。下手すりゃエレンは戦槌に負けて呑まれてたんちゃうかねえ、、
あとコレが最大の疑問、
「進撃は未来が見える」という設定はいらんじゃろ、、、と思う。しかも過去に影響できるとなると、もうどうにでもできちゃうじゃん感が満載。特に母親をあえて食べさせたとかは循環数式になっちゃっていて、これってどうあれ歴史は先に固定されてる(細かい出来事は確定された未来に修正される)理屈になるから個人的に萎えるんだよな。
そもそも「進撃」は唯一「始祖から自由」という設定だけでも十分カッコよくて、故に高く強力な改革意識を持った人間にのみ引き継がれ、どの国の支配も束縛できない最後の砦として、役目を果たしたわけですよ。
そしてそれは始祖ユミルは巨人の存在が人類にとって悪になってしまった時のために、最後に「進撃」を作った。それはユミルの意志であり、故に最後ジークではなく、エレンを受け入れたという方がアツいなあ。。。と勝手ながら。
能力設定上何もないのはナンだな、とするならば他の巨人を食えるのは進撃だけ、でも良かったのではと思う。話のなかだけて言えば唯一複数の巨人を宿した存在だったしね結局。
この辺りも9巨人誕生の個別ストーリーがあればより深く消化できたのではーとは思う。
あとレイス家が超重要なわりにたった100年でオジサン1家族になるまで細らせるってのもあり得ない設定ではあるね。血に決定的な力がある以上、側室制度は促進されるべきでウーリーに子供がいないのは許されないし、ヒストリアの母は元よりヒストリア自身を殺す選択肢は考えられない。ここら辺は王政がちとバカ過ぎる。始祖の力が奪われているかどうかは無関係で、レイスの後継者が居ないことは明白でその危機感がないのはおかしすぎ。
とまあ、細かいところでは雑さがあるものの、「巨人」のコンセプトが深く構築されていること、井の中の蛙からスタートして段々と世界が見えて行く展開、最後までカタルシス満載でございます。
お後がよろしいようで。
チ。
作:魚豊
前から気になっていた作品。完結したと聞いてまとめ買い。
長さがちょうど良い。映画化しやすそう。
明確な主人公がおらず感情移入にやや難があるが、あるサブキャストが一貫して登場することでストーリーがキレイに繋がる。逆転する最終話も見事。
それぞれのメインキャラも個性が立っておりキチンと活躍する。
最後のギリギリ託されはちょっと厳しいというか、ほとんど関係ないよねって感じなのでもうちょいカタルシスが欲しいかなぁ。
人物の書き分けがイマイチで伏線が回収しづらいが回想コマみたいなのが分かりやすく出てくるのはやや説明過多ではある。もう一度読み返せる量なのでそこは許容範囲かね。
個人的には史実に沿って、この時点では説には矛盾が残り未完成のまま、という方が良かったのではーとも思う。テーマの本質が知であるならば正しさに結論はいらなかったかなと思いました。
町田くんの世界
監督:石井裕也
「船を編む」の石井裕也監督 満島ひかりの元旦那という方が有名か。
著名監督のおかげか、キャストがやや無駄に豪華。W主演はW新人でW新人らしい粗削りなW演技なのでそういうの気になる人はW見ない方がいい。
原作を中途半端に知ってる身からすると、町田くんはもうちょい淡々としていてほしくてさすがにあの粗削りな走り方はない。まあこれは演出の問題だと思うので、おおむねW新人さんは雰囲気はとても良かったと思う。
やや無駄に豪華な他演出者は、新人をうまく支えた人たちと、無駄(お前じゃなくて良いむしろお前じゃないほうが良い)という人たちで大きく二手に分かれる印象。
最豪華の松嶋菜々子を筆頭に、AKBを嫌いにならないでほしい人、戸田恵梨香、池松壮亮はうまいです。やや存在感ありすぎではあるが。
オマエじゃなくていいのは、太賀、岩田剛典、佐藤浩市。高校生役2人はもう高校生が無理。特に岩田さん、その友達もさらに老けてる謎の人が起用されていて、少しでも岩田さんを若く見せようと思ったのかもしれないけど逆効果。
ただのミスキャストという問題だけじゃなくて、初登場のナンパシーンで「あの子同じ学校の子だ」って岩田さんが言うんだけど、本気で何かのミステリー要素が入ったのかとしばらく混乱しながら見るハメになった。そっくりのお姉さんいるのかなあ?とか、実は留学のために予備校?大学?に通っている?とか。
なのでムリな年齢の人を使う時は最初に制服で登場して「ムリキャストですよ」と認識してもらう必要があります。この点よくご注意ください。
原作最後まで読んでないのだけど、ラストの盛り上がり方は悪くないです。賛否あるようだけど僕は好き。町田くんがチャリ爆走しながら出会いからのシーンに沿って自分の気持ちを振り返るシーンとかベタだけど泣ける。これが新人パワー。多分あそこでグっと話に入れるかでその後の展開が許せるか変わると思う。
ただ、一点だけ。最後の方、子供に風船借りるシーン「行ってもいいかな?」じゃなくて「これ、ちょっとだけ借してくれない?」が良かった。
風船は絶対あの子に返す(気持ち)は町田くんの根本に必要なんだよ。
ブルーム・オブ・イエスタディ
監督:クリス・クラウス
ナチス時代の加害者と被害者(ゲルマンとユダヤ)の血筋を引く二人が過去の研究をしながらも惹かれあうという話。
二人とも相当に頭がおかしく奇行についていけない感があるが、アデル・エネルの魅力一本でなんとか引っ張る感じ。
ストーリー的に特別面白いというほどでもなく、二人のキャラクターは魅力的ではあるが、行動が突発的かつ衝動的すぎて感情移入できない。
嫁に男をあてがっていたのも、〇たないだけというのはどうにも分からない。まあここら辺は文化の違いなんだろうけどね。結局若い女には〇つんだから、日本ではよくある倦怠夫婦でしかないんでないのという感じ。まあそこらへんがコメディという事なのだろうけど。
全編通して退屈さはないので見て損はしない。それなりに良い気持ちで終われる映画。アデル・エネルが見たければオススメします。







