まいたけ味

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進撃の巨人

作 :諫山創
パニックホラー、アクション、ファンタジー系に位置付けられると思うが、比較的SF的に解明されていくあたりは妙味があると思う。
AKIRAとかEDEN好きなヒトにもイケるんでないかと。

34巻とそこそこ長いが少なくとも世界観や構想は細部まで決まっていただろうと思わせるほどブレないし、中だるみもなく飽きない。
名作だと思います。ええ。

人間と巨人が絡んだバトルがいちいち面白いし、戦略性、アクションに富みます。
純粋な1対1なら一応人間のリヴァイが最強な点などもアツいです。
という中で少しずつ世界の謎が見えてくるし、見せ方もウマい。

とまあとになく、トータルは大満足でオススメではありますが、あえて惜しい点などをあげます。

9つの巨人の9つの能力がバトルの楽しみになっていて重要だが、多分とてもバランス取るのが難しいと思うので能力設定のイチャモンはやめるけど、どうやってそれぞれが生まれたのかはアツめのストーリーがあると良かった(というかかなり最後まで期待してた)。
ストーリーがあれば矛盾やチートも気にならないし。

なお、個体では戦槌が最強だよねえ、硬質化の無敵防御力を持ち、女型と違いその状況から最強攻撃が繰り出せる。
なのに唯一防御を破る強さを持つ顎をダイバー戦で近くに置いたのはあまりに失策すぎて、これはバトルでは唯一萎えたところかなあ。どう見ても勝ち目なかったからな。

そもそも彼らは閉じ込めてしまっていたわけで、ピークちゃんの機転がなければ参戦してない。下手すりゃエレンは戦槌に負けて呑まれてたんちゃうかねえ、、


あとコレが最大の疑問、
「進撃は未来が見える」という設定はいらんじゃろ、、、と思う。しかも過去に影響できるとなると、もうどうにでもできちゃうじゃん感が満載。特に母親をあえて食べさせたとかは循環数式になっちゃっていて、これってどうあれ歴史は先に固定されてる(細かい出来事は確定された未来に修正される)理屈になるから個人的に萎えるんだよな。

そもそも「進撃」は唯一「始祖から自由」という設定だけでも十分カッコよくて、故に高く強力な改革意識を持った人間にのみ引き継がれ、どの国の支配も束縛できない最後の砦として、役目を果たしたわけですよ。
そしてそれは始祖ユミルは巨人の存在が人類にとって悪になってしまった時のために、最後に「進撃」を作った。それはユミルの意志であり、故に最後ジークではなく、エレンを受け入れたという方がアツいなあ。。。と勝手ながら。

能力設定上何もないのはナンだな、とするならば他の巨人を食えるのは進撃だけ、でも良かったのではと思う。話のなかだけて言えば唯一複数の巨人を宿した存在だったしね結局。
この辺りも9巨人誕生の個別ストーリーがあればより深く消化できたのではーとは思う。

あとレイス家が超重要なわりにたった100年でオジサン1家族になるまで細らせるってのもあり得ない設定ではあるね。血に決定的な力がある以上、側室制度は促進されるべきでウーリーに子供がいないのは許されないし、ヒストリアの母は元よりヒストリア自身を殺す選択肢は考えられない。ここら辺は王政がちとバカ過ぎる。始祖の力が奪われているかどうかは無関係で、レイスの後継者が居ないことは明白でその危機感がないのはおかしすぎ。

とまあ、細かいところでは雑さがあるものの、「巨人」のコンセプトが深く構築されていること、井の中の蛙からスタートして段々と世界が見えて行く展開、最後までカタルシス満載でございます。

お後がよろしいようで。


進撃の巨人(1) (週刊少年マガジンコミックス)