まいたけ味

まいたけの味がします。作品レベル以下のアウトプット墓場

星ガ丘ワンダーランド

監督:柳沢翔

監督は誰やねんでしたがCMで有名な方らしい。映画はこれ1本しかありません。
なのにキャストが異常にゴージャスです。期待感が高いのか業界で有名だからなのか。

オリジナル脚本で、個人的にはストーリーも世界観も好みです。
多分村上春樹とか岩井俊二とか好きなんかなーって感じですが、
建築学概論のように、もろ影響受けてます感出しても良いものは良い。

ちょっとファンタジックにしすぎてる感はあって、
落とし物係?なんて仕事ないだろ的なわざとらしさはある。
町の模型とかワンダーランドの位置とか寓話的すぎるかなあ。。。

個人的にどうにも評価できないのがカメラワークの悪さで、
多分意図的なんだろうけど、ドアップとか手ブレのセンスが悪くて、
ストーリー的に普通に見たいところが見えなくてイラっとする。
主観映像的になる部分で視線がおかしいところなんかもはや気持ち悪いし、
見せないで引っ張ってドーンって言うならわかるけどそういう演出でもない。
これがすごく集中を切らさせられて入り込めなかったがかなりの敗因。

キャストはすごいので、もったいなかった。佐々木希もなかなか良い感じですよ。
このあたりはCMやPVみたいに印象的な絵を繋ぐだけでよいメディアとの違いがあるのでは?とは思う。

なお、ざっと評価を見る限りでは、どうも公開時に「珠玉のミステリー」みたいに触れ込んでいたらしくて、
それは期待すると大スカシ食らうから、忘れた方がいい。
話の筋にミステリー要素があって一応それを軸に展開する、というくらいです。
この前振りも相当センスがないね。

こういうちょっとセンスない感じが映画好きにはキツいんじゃないかと思います。

星を追う子供

監督:新海誠

新海誠Wowowで見るシリーズも尽きてきました。
これまでで一番商業的なのか、ジブリ後継の意識が高まってます。

この後の大ヒット作2連発で誰にも文句を言わせないことができたので結果としては良かったというか、そういう才能がきっちりあったという事で安堵しますが、この作品はこれまでのファンにとってはなかなか厳しい作品でしょう。

ほぼ全編を通して、ラピュタやん、と臆面もなくパクりオマージュしまくりで、色々とあったあげくに最後の最後に「目がー」は流石に笑う。

それいらんいらん。

半分フザけてるとしか思えないのだけど、ここまで結構丁寧に地味に心の揺れ動きや繊細な絵を積みあげてきた人がここにきて「本当はモテたいんだー!!」なのかな。

ちなみに、決してクオリティの低い作品だとは思わないですよ。まあなんか変な横文字の自作の名称を連呼されて置いていかれる感はZガンダムとかエヴァンゲリオンっぽいところもありますが、まあつまらなくはないです。話も地味じゃないので。エンタメとして特に飽きもしません。
矛盾やツッコミどころはいっぱいあるので適当なのか描き切れていないだけなのかはよくわかりませんが、まあ無視できないこともない。

 

まあとにかくコレで終わらなくて本当によかったでしょうというところ。と言いつつヒット作二つともまだ見てないんだけど。

 

 

劇場アニメーション『星を追う子ども』 [DVD]

劇場アニメーション『星を追う子ども』 [DVD]

  • 発売日: 2011/11/25
  • メディア: DVD
 

 

監督:河瀬直美

河瀬作品なので構えてたが、全く見やすかった。
良い意味で普通に面白い。

殯の森では、映像やロケ地の美しさはわかるが、正直素人と俳優の演技差が温度差として伝わる部分があってこれは刺さるっちゃあ刺さるけど、私にとっては嫌な刺さり方だった。

今作はそれがない。永瀬正敏は勿論のこと、小市慢太郎など俳優陣の上手さたるや。河瀬監督は演技指導なしで、とにかく役に入らせると聞くけど、これは役者がプロである事によって活きるなあと思った。

まーでも正直水崎綾女は見劣りしたかなあ。。悪くはないけど、他が良すぎるし、単にあんまりタイプじゃないからかもしれんけど女性的魅力を感じない。

なので、まあジャケがモロだから言うけど二人に恋愛感情が生まれていく感じがイマイチ共感されないと言うか。

あと、監督のインタビューのシーンはこの話の転換として結構キモだと思うんだけど、これもなんか主人公が変わる感じが出ないんだよなあ。。。

と、題材も脚本も秀逸だと思ったのでちょっとひっかかりました。

あと、このジャケ写は映画見てから知ったのだけど、このシーン使う?
この二人こうなるんだと分かって見ると面白味減ると思うんだけどなあ。。。


光

台北ストーリー

監督:エドワード・ヤン

結局私はこう言うのが好きなのだ。
もはや自分でも何が面白いのかよく分からないけど、好きなのだ。
酒は飲まないけど、それに近い気分ではないかと。

少し古い作品のため、音楽やファッションなど、ノスタルジーも追加される。

近代的なアパートメント、ビル、雑多な街並み、伝統的な家屋、アメリカへの希望、停滞感。

混ざり合う時代感が心地よい。


台北ストーリー [DVD]

いなくなれ、群青

監督:柳明菜

甘酸っぱい。
飯豊まりえの透明感と優等生少女ノスタルジーが直球ど真ん中で期待を裏切らない。
ポストガッキー候補ナンバーワンでなかろうか。

世界観はある程度出てるし郵便局員片山萌美は効いてる。
が、音楽祭のクダリがちとヒネリもなく長く単調になったのは否めない。
もっとLOSTみたいに島のディテールを掘り下げたるか、もう二人の過去を掘り下げる方が入り込めたんじゃないかなあ。
ライトノベル感が残るのが惜しい。

まあ、視聴者ターゲットはティーンだろうから仕方ないかね。これは。

と言うわけで、飯豊まりえのイメージビデオとしてお楽しみください。

いなくなれ、群青 DVD通常版

いなくなれ、群青 DVD通常版

  • 発売日: 2020/03/20
  • メディア: DVD

舞台

著:西加奈子

文庫版には著者と早川真理恵の対談があって、主人公の行動、虚栄心や羞恥心の心の動きについて共感が語られている。
この主人公の心の動きにほぼ全くと言って良いほど共感出来なかった私には、この対談無くしてこの小説の意図するところは90%も理解出来なかっただろう。

西可奈子は「窓の魚」しか読んだことがなかったのだけど、純文学の香り満載でこの舞台とは全く文体が違う。
それでも文章の上手さ、リズムの良さは共通して素晴らしく、読ませる力がある。

残念ながら、この主人公にほぼ共感出来ない私にはそれ以上でもそれ以下でもない小説だ。
ニューヨークの小旅行日記。
ちょっとした冒険活劇。
○ニ病気味の主人公。

と言うところで、ライ麦オマージュなのかなあ?と思った。ライ麦好きな人にはススメられるかなと思う。


舞台 (講談社文庫)

舞台 (講談社文庫)

教団X

著:中村文則

各方面で絶賛されている様と、この分厚さで「読み応えありそう」と大いに期待してしまったのがやや空ぶった感はある。

十分に良書だとは思うけど新しい感じはなかったなあ。
中村文則は「銃」しか読んでないのでイマイチまだ掴めていない感はあるのかとは思うけど、なんとなく彼のかじった思想や史実や科学と言ったものをひたすら浴びせられている感じで、ストーリー性が希薄だった点は正直期待外れ。
ウンチクと言ってしまうほど低いレベルではないとは思うが、学の高い人はその程度にしか捉えないだろう。特に高原や篠原の思想語りの辺りはちょっと痛めで(設定上もそうなっているが)、伏線があるかもと思って読んだが特になかったので、申し訳ないが読み飛ばしてOKだと思う。

教団自体のカルト性においてもあえてSEXはを外さなかったのかなあ?結局SEXかあ。って思ってしまうんだよね。まあ最後まで読んでいくとそこまで凡庸ではない事はわかるんだけど。
あくまで個人的な印象として1Q84を喚起させてしまう部分が構成上にもあって、そうすると圧倒的にラブストーリーの軸が弱いので感情移入はしづらかった。
もちろん、宗教に対する考察の深さは圧倒的にこちらが上なので、比べるもんでもないとは思いますけどね。

個人的には、宗教的志向における沢渡と松尾の関係性や対立軸のようなものをもっと掘り下げて欲しかった。なぜ同じ師の元から2人のカリスマが全く違うものを作り上げたのか。もしくは共通点がどこにあったのか。
ここもストーリー性が希薄と感じる部分なんだよね。

まあ、読み応えはあるし、スラスラ行けますので読んで損はないです。
あまり伏線はないので鼻につく思想論は飛ばしてもいいですよ。

教団X (集英社文芸単行本)

教団X (集英社文芸単行本)